ロイターより。
この記事ではロバート・フェルドマン(モルガン・スタンレーMUFG証券・チーフエコノミスト)の日本経済の先行き予想やフェルドマンの考える日本の取るべき道が示されている。
現在、日本は不況状態にあるというべきだろう。消費税の引き揚げがなされたのだから、これが国内需要への打撃になるのは当たり前だ。日本経済は、2014年4月以来、2四半期連続でマイナス成長が続いたが、このような状態について、ロイターの記事は、日本経済は「消費増税の2日酔い」に苦しんでいたのだという表現を使っている。
しかし、フェルドマンは日本経済は徐々に景気回復するとみている。彼によれば、その要素は4つある。第1にさらなる消費増税の延期だ。2014年4月の8%への増税は想定以上に国内需要に打撃を与え、景気を冷え込ませた。第2段の10%への増税を当初予定されていた2015年10月から2017年4月に延期したことは、少なくとも悪いことではない。景気が悪いのに増税をすれば国内需要に打撃があることはわかりきっている。
2つめの要素は、安部自民党が12月の総選挙に勝利して、アベノミクスに弾みがついたことだ。
周知の通り、新成長戦略は昨年6月に閣議決定され、現在、法制化や事業化が進められている状況にある。第3次安倍政権発足後、すぐさま3.5兆円規模の緊急経済対策も決まったが、何より今年は第3の矢(成長戦略)の本格的な実行がいよいよ期待できる点が大きい。----ロイター同記事より引用。アベノミクスはそもそも、基本的に金融政策は評価されていた。結果として、実感は伴わないかもしれないが、株価は円建てで大きく上昇している。
それに、日本が金融政策を行う利点はいろいろある。第一に、金融政策は予算がいらないこと。財政政策というのは政府支出を増やすことだから、どうしても政府がたくさん出費しなくてはいけない。しかし、巨大な借金をもつ日本はあまり予算に余裕がない。しかしながら、政策金利の操作や紙幣をたくさん発行する量的金融緩和は予算を組む必要がない。
第二に、経済学の理論モデルであるマンデルフレミングモデルによれば、日本経済では財政政策はほとんど無効になるが、金融政策は有効であること。事実、バブル崩壊後の日本は大きな財政政策を何度も行っていたが、それは景気回復へとつながらなかった。
一応政策金利の引き下げという金融政策も行ってはいたものの、日本経済が長い間デフレもしくは低インフレ状態だったため、実質金利は高止まりしており、あまり意味はなかった。今回の量的金融緩和という金融政策は、今まで行われてきた財政政策や政策金利の操作と違って、日本経済に良い影響を与えるかもしれない。
このように金融政策は期待できるものであったが、財政政策と成長戦略はイマイチという評価だった。特に成長戦略はなにをどうするのかよくわからない。ちなみにイェール大学の浜田教授はアベノミクスの金融政策にA、財政政策にB、成長戦略にEという成績を与えている。
これから、もしアベノミクスの成長戦略に期待できるのなら、景気上昇にもつながるだろう。
さらには日銀が量的金融緩和をやった結果として円安になっているが、この円安が貿易や観光客誘致に追い風になってきている。(円安で貿易収支が改善しない理由としては、Jカーブ効果のせいかもしれない。なお、為替操作はIMF加盟国には禁じられているが、日本政府は「金融政策の結果として円安になったもので、為替操作したわけではない」としている。もちろんこれを為替操作として非難する国もある)
さらには最近の大幅な原油安も景気回復への手助けとなるだろう。(国際的な原油安の理由)インフレ率は日銀の目標の2%には届いていないが、徐々に2%に近づいてはいる。(続く)